2024年11月26日
出典:文化放送
扶養所得103万円の壁とは?日本の家庭と税制を理解するためのポイント
日本の税制において「扶養控除」という制度は、配偶者や子どもなどを扶養する人の税負担を軽減するために設けられています。
この中で特に注目されるのが、「103万円の壁」という考え方です。この壁を越えると、税制上の扶養から外れる可能性があり、家計にさまざまな影響を及ぼします。本コラムでは、103万円の壁の仕組み、その背景、そして影響について詳しく解説します。
103万円の壁とは?
「103万円の壁」とは、扶養家族である人の年間所得(主に給与収入)が103万円を超えた場合に生じる税制上の変化を指します。
この金額は以下の計算から導き出されます。
給与所得控除:55万円(給与収入に対して一定額が控除される)
基礎控除:48万円(すべての納税者が受けられる控除)
合計103万円までの収入であれば、所得税が課税されず、さらに扶養者(多くは夫や親)が扶養控除を受け続けることができます。
しかし、これを超えると、扶養控除が受けられなくなるケースが出てきます。
103万円を超えるとどうなるのか?
1. 所得税の負担が生じる
103万円を超えると、超えた分の金額に対して所得税が課されます。たとえば、所得税率が5%の場合、110万円の収入がある場合には、(110万円 – 103万円) × 5% = 3,500円の所得税が発生します。
2. 配偶者控除の対象外になる可能性
配偶者の収入が103万円を超えると、配偶者控除が受けられなくなります。配偶者控除の最大額は38万円で、これが適用されないと、扶養者(多くは夫)の所得税が増加します。
3. 健康保険・年金への影響
健康保険や年金(社会保険)の扶養認定基準にも影響があります。多くの場合、年収130万円以上になると扶養から外れ、配偶者自身が健康保険料や年金保険料を負担する必要が生じます。
これは103万円の壁よりも大きな負担になるため、注意が必要です。
なぜ103万円の壁が注目されるのか?
1. パートタイム労働者の増加
日本では、多くの主婦や学生がパートタイムで働いており、彼らの収入がこの壁を越えないよう調整されることが一般的です。
これにより、労働時間が制限されるケースが少なくありません。
2. 家計への影響が複雑
扶養控除や社会保険料の負担増によって、実質的な手取り額が減少する「働き損」の状態になることがあるため、家計における働き方の選択が慎重になります。
3. 働き方改革との関連
政府が進める働き方改革の中で、この壁を緩和する動きが議論されています。
たとえば、配偶者控除の上限が150万円まで引き上げられたのもその一環です。
103万円の壁をどう乗り越えるか?
1. 壁を意識せず働く選択
103万円の壁を気にせず、より高い収入を得ることで扶養控除が失われても全体的な収入を増やす選択です。
社会保険に加入する場合でも、福利厚生や年金額の増加などのメリットがあります。
2. 収入を調整する選択
収入を103万円以下に抑えることで、扶養控除の範囲内に留まり、家計全体の税負担を軽減する戦略です。
ただし、この場合は労働時間の制約が生じる点を考慮する必要があります。
3. 専門家に相談
税理士やファイナンシャルプランナーに相談して、家計全体で最適な働き方を考えるのも一つの方法です。
まとめ
「103万円の壁」は単なる収入制限の問題ではなく、家計や働き方に多面的な影響を与える課題です。
収入、税金、保険料のバランスを見ながら、働き方を選ぶことが重要です。
また、税制や社会保険制度の変更も随時チェックしておくとよいでしょう。
2024年11月20日自民・公明の与党と国民民主党は、年収「103万円の壁」を引き上げることを、石破政権の経済対策に明記することで合意しました。
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